5 退職者の謝辞
◆兵どもの夢のあと 〜定年退職者の謝辞〜 定年退職者を代表いたしまして、ひとことお礼のあいさつをのべさせていただきます。 ただ今は社長さんから、身にあまる感謝のお言葉をいただき、光栄に存じ、感激に声もうるむばかりでございます。 芭蕉の句に「夏草や 兵どもが 夢のあと」という句がございますが、まったく歳月というのは、そのようなもので、過ぎ去ってしまえば、まことに一瞬の夢のように思われてまいります。 次々に増築された社屋、新鋭の設備のととのった工場、そして社員の増加と、社のめざましい進展のあとが、私たちの仕事の日々とともにあったことなど、今さらながら感慨ぶかい思い出でございます。 その間、浅学非才の私どもが、どれほどお役に立つことができたか、思い半ばにすぎるものがございます。ほんとうに長い間、よく面倒をみてくださいました。私のような者が、大過なく定年を迎えることができましたのも、みな、社長をはじめ社員の方のあたたかいご指導を得ることができたからでございます。 ありがとうございました。 定年退職とはいえ、まだまだ老いこむわけにはまいりません。私どもは、それぞれ次の職場で、体力と能力にあった仕事を続けたいものと計画しております。どうか今後とも、在社時代と変わらぬご好誼、ご教示をいただきたく、お願い申しあげます。 最後に、社運ますます隆盛ならんことを、心よりお祈りいたします。
◆つつがなき年月へのよろこび 〜定年退職者の謝辞〜 かくも盛大な送別会を、私ごとき者のために催していただき、まことにありがたく感謝の念でいっぱいでございます。さきほども部長より、過分なるおほめの言葉をいただき、身の縮まる思いでございます。 大学を卒業以来34年間、3度ほど地方へ転任はしましたが、私の半生はこの社内で過ごしたものと申してもよいほど、私は他の社会を知らずにまいりました。この歳月を大過なく過ごしてこられたのも、ひとえに皆さま方のおかげと、今はただありがたい思いでございます。おかげさまで、二人の子どもも一人はかたづき、一人はこの春大学を卒業し、やっと一人前になり、やれやれというところでございます。 こんな私に、嘱託になって残ってはくれまいか、というありがたい申し出を受けましたが、これ以上嘱託などになって残り、皆さまにごめいわくをかけるよりは、このさいいさぎよく退いて、いままでやりたいと思っておりました、ささやかな仕事を独立してやってみたいと考えております。 どうか退職後も、いままでのように心安くおつき合いくださり、拙宅へもお越しください。お待ちしております。長い間ありがとうございました。 最後に社の盛運とともに、部のご発展を、そして、皆さまのご健康を心からお祈りいたします。
◆結婚退職の女子社員の謝辞 本日は、私のためにこのような送別の宴を設けていただき、ありがとうございました。 結婚生活をすでにしていらっしゃる先輩の方々よりの、結婚に対する心がまえ、男性飼育法の秘訣、また夫の浮気を見破る法など、たくさんのことを教えていただいて、少々、結婚生活に疑惑をもちそうです。 でも、やはり私は、そんなかけひきは一切ぬきにして、素直にこれからの生活にはいっていくつもりでございます。そして、その生活の中で、いままで会社で経験したいろいろなことを、上手に役立てていく人間になりたいと思っております。 何もできなかった私を、これまでに育ててくださって、皆さん、ほんとうにありがとうございました。どうぞこれからもよろしくお願いいたします。 |