◆警察署長転任のあいさつ
今回の異動で、M署へ転属することになりました。 本署の署長を拝命して任についてから、まる三年、その間諸君と ともに職務を遂行し、本日まで大過(たいかなくすごせたことは、諸君のご協力のたまものと深く感謝する次第です。 特にY組という街の暴力団追放の折には、諸君のまったく献身的な協力のもとに、この街の、目の上のこぶを取りさる大手術に成功することができました。これは、私の警察官生活の中で、もっとも印象深いものとしてこれからも残ることと思います。 お別れに際し、日ごろの私の所信をくり返しますと警察とは、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序維持のために、民主的理念を基調として働くところであります。むずかしいのは、その民主的理念ということで、これをはき違えると民主教育を標傍する教育ママと同じことになってしまいます。警察官は、社会の悪に対しては徹底的にたたかわねばならないもので、民主警察という語に眩惑されて、小さな悪をみすごしたり、過保護にすぎると、それが大きな犯罪を生む原因になることだってあり得るわけで、それをしっかり心にとめて警察官として行動すべきであります。 悪は小さなうちに根絶して、大きな悪を生み出さないよう、日常しっかり職務にはげんで、今日よりは明日、明日よりは明後日のほうが、世の中が明るくなった、といわれるような社会を作るよう、お互いにこれからも努力したいと思っておる次第でございます。 では、これでお別れします。いままでこの至らぬ署長にご協力いただいたことを、重ねて深謝申し上げ、新署長のもとで存分の働きをしてください。 |