ねぎらいと感謝の気持を率直に

男は一歩外に出ると、七人の敵がいるといわれていますが、職場は私情をさしはさむことのできない公的な集合体といえます。有能なサラリーマンであればあるほど、転任のチャンスも多いようです。

 同じ職場で働いていた、いわば身内の者が新しい職場へ移ることになり、転任者を送るはなむけの言葉は、これまでの働きに対しての感謝とねぎらいの言葉をのべ、貴君のこれからのいっそうの活躍を祈りますという意味のあいさつをします。これに対して転任者は、今までお世話になったお礼、離れてもなおいっそうの教示、交際をお願いするというようなことを述べます。

 転任者を送るばあいに注意することは、転任することで少しでも現在より地位の上がっていく栄転ではなく、だれの目にも左遷されていくことが分かるばあいに、「ご栄転でおめでとうございます」などと、そらぞらしくひびくようなあいさつはさけて、「働く場所は変わっても気をおとさずにがんばって、貴君の底力を発揮されることを祈ります」というような、それとなく相手の気持をひきたてる、はげましのことばをそえて、あたたかく別れを惜しむようにします。

 退職者のあいさつも同様ですが、特に定年退職者へのあいさつは、退職者自身がそぞろに人生の秋風の中に身をおいているようなものですから、長年の労働に対して、感謝といたわりの意をこめて別れの席のあいさつをしますが、あまり身が入りすぎて涙がとどまらず、というような場面にならないように注意します。退職者の謝辞は、お世話になったお礼と、一線を退いてもまだまだ社会的な生活が終わったのではないのだから、これからも社会に役立つような生活をしていきたい旨をのべます。

 

歓送迎会の司会のコツ

1 司会者は会合の潤滑油に

 「月日は百代の過客にしていきかふ年もまた旅人なり」と芭蕉の嘆じたように、人はその旅人の間を自分の生涯めぐり歩いているようなものです。

 職場も同じことで、やめていく人があれば、入る人があります。このようなばあいの歓送迎会では、去る人には心からの惜別の情をもって送り、新しく入社した人、任命された人は喜びをもって迎えるのが、最大のマナーといえます。

 こういう会合のばあいは、ふだんと異なり、出席者全員が緊張しがちですから、司会者はまず緊張をときほぐすようにつとめ、出席者全員があたたかな雰囲気で、送る人迎える人を送迎できるように心がけることが大切です。

2 形式ばらずユーモアも

 定年退職老のばあい、新入社員を迎えるばあいは、庶務課長や庶務担当の人が開会を宜し、社長、重役のあいさつ、先輩社員のあいさつがあり、最後に退職者、新入社員の謝辞が行なわれます。司会者は、会が形式的にながれないよう、多少のユーモアを加えて会の進行をはかります。

3 こまやかな心づかいを

 送る人、迎える人のことを全然しらずに司会をするのは当人に対しても失礼です。転任先のことをそれとなく調べておいて、その地方の民謡をうたって送ってあげるくらいの心づかいは、司会者として当然の準備で、安易な同情、好奇心は禁物です。

行列200mオーバーの最高の中華そば!!
 

 

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