小松さん、本日はおめでとうございます。

 新郎、新婦を前にして申訳ないのですが、私はまず花嫁の母である小松夫人にお祝いをいわせていただきたいと思うのであります。

 小松さん、よくここまで頑張られましたね。女手一つでお子さんを四人育て上げられ、今日は一番上のお嬢さんである和佳子さんを嫁がせることになり、その喜びもさぞやと思われます。

 この佳き日にあたり、和佳子さんに私がお願いしたいことは、嫁がれたらもうお母さまのことは心配なさるな、ということです。俗に「女は愛きょう」と申しますが、私はこの言葉がたいへん好きです。愛きょうの中にはやさしさも含まれますし、これは女性の特質だと思うのです。しかし、これも心配ごとや悩みがあっては、もてないものです。嫁がれて、川島さんのよい妻になりたいと思ったら、実家のことは忘れることです。和佳子さんが心配しなくとも、お母さんは今まで立派にやってこられたように、これからも大丈夫ですよ。それにご兄弟もついています。

 和佳子さんは、愛きょうをふりまいて、川島さんのよい妻になり、なんにもない二人の生活を、これからこつこつと築きあげていくことに専念すべきです。夫婦のよさとは、その築きあげていく過程の中で、自ずと体得されてゆくものなのです。

 最近は、婦人雑誌などによく家庭演出論などという記事がでていて、幸福な家庭を築くためには、こういうときにはこうしなさいというような手本がよくあります。しかしこれは、できるものではありません。なぜかと申しますと、これはすべて他人の借りものだからです。借りものの中からは、ほんとうの夫婦ができ上がるはずがないじゃありませんか。

 体裁ばかりよくて、中身のがらんどうなお菓子のような家や、借りものの演出の、テレビのホームドラマのような、血のない夫婦にならないためにも、和佳子さんは、女の愛きょうをフルにお使い下さい。


もはや山形の文化!! 中華そば処琴平荘のあっさり中華をご自宅で!
スピーチ例に戻る