ご結婚おめでとうございます。私は順也君の大学時代の先輩として、本日お招きを受けたわけでございますが、新婦の夏希さんとも私の妹の友人である関係から、よく存じ上げておりまして、本日は兄妹ともにお招きを受け、ありがとうございます。

 先輩として祝辞をと、司会者の方からのご指名なのですが、「おめでとう」という言葉以外には、どうも適当な言葉がみつからず、先ほどから困っているのですが、男は男同志、少々男性の立場から、妻となられる夏希さんにお願いしたいことがあります。

 と申しますのは、男は太古の昔から、獲物を追いかける狩人の役割を持っていたと、私は思っているのです。そして兎よりも象をつかまえてくるほうが、かみさんだって喜ぶはずです。ところが、象を取るためには、男は自由てなければならず、その自由を得るためには、ある程度は、かみさんを困らせることもあるのです。気の弱い狩人は、ここでかみさんを困らせたくないなあ〜と迷いがでます。しかし、夏希さん、順也君、君たちはここで迷わないでほしい。

 女性として女房としては、亭主をもっともっと有能な狩人になるようにしむけなければ、男性に進歩がなくなってしまうことになります。ですから、どうぞ夏希さん、順也君を百円や二百円亭主などにせずに、大きな抱擁力をもって、狩人の本能をのばして、狩人を上手につかう軍師になってください。それがお互いの幸せを作る大事な基石(きせき)となることではないかと思われます。立派な象をつかまえてください。


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