7.およそ人生のことは、糸まきの糸をとくように順調に、簡単に、気楽にできるものではありません。むしろもつれてしまった糸を解くようなものだと思います。ある者は見ただけで手をこまぬき、ある者はその糸をほぐして長嘆息し、ある者は半ばにして放り出します。ところが菊地君は、このもつれた糸をほぐす名手です。いささか我が田に水を引くことになりますが、菊地君も東北人の粘り強さ、堅実さを十分にそなえています。しかし、それだけでは糸はとけません。聡明がなければ糸はまたもつれるでしょう。それにもまして人をよろこんで協力させる統率力がなかったら、人生のもつれた糸はほぐれません。菊地君はそれを持った人です。奥さん、糸がもつれたら菊地君にほどいてもらってください。

8.私はごらんのとおり、ぶっきら棒な、しかし商売に全身を打ち込んでいる商人です。八木さんは私の息子上り二つ若い、私どもの店ヘセールスにこられても、遠慮なしにづけづけものをいいます。ところが、八木さんは笑みを忘れない、いつでもその目にやさしい笑いがあって、どこか芯から明るい、これにはまいりました。こんな若くて、こんなできたセールスマンはめったに居ない、と感心したとき、私は八木さんのとりこになってしまったのです。以来五年の取引きですが八木さんには安心しておまかせしています。八木さんは一口でいえば、人を食ってしまうセールスマンです。この人は商品だけを売り込む人じゃない、骨と皮の私のような味のない魚も一のみにする人です。

9.竜の落し子は、2センチばかりの小さな魚ですが、ご存じのように、長い精悍な面魂に、全身を黒褐色のヨロイで武装しています。長いしっぽを器用に海藻にからみつけて立ち止まったり、小さなヒレを動かして直立不動の姿勢でおよぐ様子は、どことなくユーモラスでおどけていますが、私は竜の落し子に海のナイトの称号を贈ります。と申しますのは、この竜の落し子、大変奥さん思いだからです。繁殖期になりますと、オスの下腹部に小さな袋ができて、メスはオスによりそってこの袋の中に産卵します。オスはこれを大事にかかえて卵がかえっておよぎ出すまで四、五十日間しんぽうしつづけるのです。

　　亭主の好きな赤烏帽子

などと申して、亭主関白をきめこもうとする男性のみな様に、せめてこの竜の落し子の半分でもよろしいから竜の落し子のナイトぶりを見習っていただきたいと存じます。

10.私はご紹介いただきましたとおり、○○町商店街組合の組合長をしておりまして、新郎のご父君も理事をされ、ともども○○町商店街の繁栄に全力を尽しております。その中の一つの大きな仕事は、若い商店主をりっぱに育てるということであります。新郎が大学を出られますとすぐ大阪の○○呉服店へ見習奉公にゆかれ、昨年帰られて、お店の経営に当たられています。他人めしの飯を食わせるというご父君の教育方針によるものと思います。新郎の秀毅君は、ご父君の商才を受けつがれて、非常に実行力のある方で、時代感覚を身につけた幅広い見識をもたれています。そのやることなすこと、すべてが日新しく、そのアイデアと実行力は、私どもが驚くとともに、これはりっぱな後継者を得られたとよろこんでおります。○○町商店街繁栄の大きな原動力の一つを得られたとよろこんでおります。

11."なくて7くせ、あって48くせ"といいます。くせのない人はない、弱点のない人、欠点のない人はいないようです。その一つ一つをなおし、正してゆけば、りっぱな人間になるはずですが、それには人生はあまりにも短いようです。日陰の枝を陽あたりの枝と一しょにのばして形よく育てようとしても、日陰の枝はのびないのです。陽あたりの枝を十分にのばせば木は大きくなりて日陰の枝もやがて陽あたりの枝になります。欠点にびくびくしないで、長所を力一ぱいにのばすのが人生に成功する道だと思います。

12.職場を通して見た鈴木君をご紹介いたしますと、まずその合理的な能率と正確さをあげねばなりません。複雑で面倒な計算をともなう仕事も、鈴木君の明断な頭脳にかかると、無類の正確さで処理されてしまいます。魂の入ったCPUのようなのが、鈴木君であります。

もはや山形の文化!! 中華そば処琴平荘のあっさり中華をご自宅で!