新婦の謝辞

 本日はありがとうございます。私達はお互いを幸せにし、慧太さんが仕事に打ち込めるような家庭をつくりたいと思います。その根本を忘れずにさえいれば、多少の道草があっても、先ほどご先輩の申されたような、犬も食わぬけんかがありましても、やっぱりすばらしい家庭をつくろうと思います。


 本日は、ありがとうございます。

 私達の今日ありますのも、職場の皆様のいつに変らぬ温いお心のたまものです。そして今日の立派な結婚式も職場の皆様の慈愛の贈り物です。ほんとうにありがとうございます。このほかに感謝の言葉がなく、ただ胸が一杯です。

"人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。重大に扱わなければ危険である"といいます。芥川竜之介の言葉ですが、私達は、毎日の活を大切に扱おうと思います。そして皆さんのご好意に報い、ご期待に添いたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。


 主人の傍らにつつましく立っていればそれでよいと思っていましたところ、司会の方から男女同権だから、何かひとことごあいさつをのべるようにとのこと、心から御礼を述べさせていただきます。一生を通じて、今日という今日は忘れ得ぬ感激の日となりました。今までの交際では少しも知りませんでした主人の一面を皆様のおほめとともに知り得たことは、何にもまして嬉しいことでございました。これからはそのよき人とよき調和のもとに、新しい楽しい家庭を築いて行きたいと思っています。

 本日はどうもありがとうございました。

 どうか幾久しくおみちびきくださいますよう、お願いいたします。


 本日は私どものために、いろいろとありがとうございました。佐藤先生のおかげで、私はこんなによい方めぐり合うことができて、本当によかったと、いま、幸せをかみしめていたところでございます。

 女はすぐに図々しくなるから、とよくいわれておりますが、私は今日のこの喜びを忘れずに、友川のよい妻になり、お父様お母様を安心させてさし上げたいと思っております。本当にふつつかでございますので、皆さまよろしくお願いいたします。


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