ただいまご紹介にあずかりました○○○○でございます。

 たいへん高いお席をいただいて恐縮しておりますところへ、ただいまはまた、一言申しあげるようにとのご指名でいたみいりましたが、実は私は新郎のお父さんと長年ご昵懇にねがっておる者でありまして、新郎が、赤ん坊のころには、よく膝の上に抱いて、子守唄などを歌ってあげた仲でございます。そのようなことから、ただいまのご指名となったものと信じますので、せんえつと存じますが、一言ご祝辞を申しあげたいと存じます。

 本日は、皆さまもごらんのとおり、ご立派なお似合いの新郎、新婦のご披露におまねきいただき光栄に存じます。そのうえ、ご丁重なおもてなしにあずかり、本当にありがたいことで、厚くお礼申しあげる次第でございます。

 ただいま、ご媒酌のかたから、新郎○○君と新婦△△さんのご婚儀は、いとも厳粛に、とどこおりなく取りおこなわれましたことを拝聴いたしましたが、ご両人はもとより、ご両親、ご一門のお喜びもさこそと、心からお祝い申しあげます。

 さて、結婚は人生最大の喜びといわれておりますが、私もその通りだと思います。この世の中に、結婚ほど、当人同士はもとより、周囲のゆかりの人々みなが喜び祝う事柄はほかにはありません。

 この大きな喜びにつつまれて、新しい人生のスタートラインで緊張しておられる新郎の○○君を前にして、私もまた大きな喜びにつつまれながら○○君の子供のころと現在とを同時に思い出しているのでございます。

″栴檀(せんだん)は双葉よりかんばし″と申しますが、確かに××君は幼少のころから少し違ったところがありました。だいたい幼児の遊びというものは次から次へと移っていくのが一般ですが、彼は機械で動くおもちゃなどを持つと、いろいろな角度からそのおもちゃを動かし、飽きるということを知らないかのように、1人で半日でも遊んでいるのでした。その姿は、さながら熱心な研究者の姿のようにも見えたものでした。

 つまり、現在の科学者の芽は、もうこのころから育っていたということであります。三つ児の魂百までといいますから、おそらく○○君のこれからの人生も研究一筋の道に違いありませんが、しかし、今日からは、もう研究室だけの生活ではなくなりました。××子さんという何一つ非のうちどころのない伴侶を得て、家庭というお二人だけの城をもつことになったのです。この城を、立派に守っていかなければなりません。

 賢明なご両人のことでございますから、このへんのところは、ほどほどにコントロールして、家庭を根拠として力強く楽しい生活を切りひらいていかれるであろうと確信いたします。が、なんといっても、まだまだ人生経験は浅いのですから、ときには行き過ぎて、迷いの壁にぶち当たらないとも限りません。しかし、ご両人が、ともに信じあい、愛しあっていかれるかぎり、必ず道は開かれるものでございます。そこには、かえって苦労の楽しさも生まれてくるというものです。

 どうか、ご両人、しっかりと手をたずさえて、新しい人生に向かって勇気をもって踏みだされることを希望いたします。

 ご臨席の皆さまにおかれましても、ご両人のために、今後とも、何かとご支援くださいますよう私からもお願い申しあげます。

 では、いつまでもおしあわせに。

 簡単ではありますが、これをもちまして、私の祝辞にかえさせていただきます。


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