同窓会でのあいさつ

幹事のあいさつ

 

元NHKアナウンサー 藤倉修一さん

 

 本日は、お忙しいところを、よくお集まり下さいました。

 実は、こんなに大勢、お顔が揃うとは考えてもおりませんでしたが、お天気も良くって・・これもひとえに、私ども幹事の人徳のしからしめるところと、いささかうぬぼれている次第であります。

  だいたい、同窓会などが懐かしいというのは、学校を出たての一、二年の間でありまして、そのころは、お互いに、まだ悪ズレをしておりませんし、心の奥の隅 には、純情のカケラぐらい、持ちあわせておりますので、久し振りで級友に会えば、「ヤア、ヤア」と簡単に感激して、抱き合ったりしますが・・・。

  学校を出て、三年もたちますと、複雑怪奇な社会の波にもまれて、大勢の人と交際する関係上、いろいろと懐かしがったり抱き合ったりする相手も、パーマネン トかショート・カット、香水のにおいのする方がいいというように、好みが変わって来まして、自然、同級生なんかどうでもいいということになりがちでありま す。

 しかし、同窓会を軽視して欠席するということは、大変間違ったことでありまして・・・。

 同窓会は、今や、懐古趣味の"また会う日まで・・・"といったような、センチメンタルなものではないのであります。

  今日の同窓会は、実に趣味と実益を兼ねた、まことに有意義なものであります。こうして年一回の同窓会に、僅かの会費を払って、イヤイヤながらも、顔さえ出 しておけば、失業した時や、金に困った時などには、「同窓のよしみで、何とかしてくれー」と、友情を押し売りして、成功している金持ちの級友に泣きつく時 に、非常に便利なのであります。

 現に私のところには、そこにいる阿部君が、たびたび訪ねて来て、しつっこく保険の勧誘をいたしておりますが、今席も恐らく、諸君の懐に、食い下がることと思います。

  又、銀座に喫茶店「○○」を経営している馬場君は、本日の会に、自店特製のおいしい洋菓子を、たくさん御寄贈くださいましたが、私には特にお土産の菓子折 をくれるといって、お世辞をつかっているところを見ますと、彼の好意の裏には、また何かの機会に、放送で「○○」を宣伝してくれという下心があるのかと存 じます。

 かように、同窓会というものは、懐かしさとか友情とかを通り 越した、利用価値の多いものでありますから、御出席の諸君におかれましては、学校時代の思い出話などにかこつけまして、タップリ、旧交を温めながら、お互 いにだまし合ったり、たかり合ったりされますならば、そのわけ前にあずかる幹事として、これに過ぎる喜びはございません。

  なお、本日の同窓会を、最大限に有効な口実に利用されまして、柳暗花明の巷などに発展的解消をなさる方々のために、「二次会、三次会で遅くなった」とか、 「遅くなったので級友の家に泊った」とかいう、奥様むけの証明は、私ども幹事が一切心得て、責任をもっていたしますから、どうぞ御心配なく、ごゆっくりと おくつろぎ下さるよう申し添えて、御挨拶に代える次第でございます。



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