警察友の会会長を悼む
本日、君の霊前に弔辞を捧げようなどとは、○○友の会会員一同の、だれ一人として夢想だにしていなか
ったことである。○○友の会代表○○△△、ここに謹んで××君の霊前に申し上げます。
思えば昭和●〜●年のころ、私たちが○○警察署在勤当時、君は新任者として○○警察署にこられ、直ちに派出所勤務となられたが、真面目なその勤務ぶりは
たちまち上司の認めるところとなり、警務係に抜擢されたのであった。
当時の警務係は、署内における重要かつ複雑な事務を担当したが、人一倍緻密な頭脳の持ち主であった君は、何事も枝葉末節に至るまでゆるがせにせず、敏速に、正確に処理されたので、上司同僚からの信頼は篤く、その将来を嘱望されていたのであった。
まもなく衆望を担って部長試験を受け、見事合格、つづいて巡査部長に進級、さらに考査試験に合格、警部補となられるや、ますますとんとん拍子に進み、各署の主任、次長等を歴任、一転して○○の運転者試験場長となり、次いで警視庁警邏機動隊長に就任、白バイの総指揮官として自動車の洪水の中に身を投じ、交通の安全、自動車の速度取り締りに全力を尽くしていたのであった。
しかし激烈な交通事情は、都心から逐次郊外に移動の傾向を示し、ために君は選ばれて杉並警察署長に転任、真に東奔西走、席暖まる暇もないほどの激務がつづいたためか、不幸病を得て入院のやむなきに至ったのであった。
しかし気丈な君は、やがて病を克服され、ふたたび杉並警察署長の職にあったが、君の自動車行政のすぐれた手腕に期待をかけた首脳部は、新設の自動車運転者試験所次長に任命、発令された。
鮫洲と異なり、諸設備の整備された新装の新試験所場所は郊外。古巣にもどった君は、ふたたび自動車行政にすぐれた手腕を揮われたのであったが、まもなくふたたび病を発して入院、惜しくもご他界されたのであった。有能な君をここに失った事は、首都交通安全上からも惜しまれてならないし、○○友の会としても痛恨ただ涙にくれるばかりであります。
君の署長として、あるいは交通行改の第一人者としての功績は多大であり、これを惜しまないものはないのであります。ご遺族のことについては、及ばずながら友の会といたしましても、できるだけお尽ししたいと思います。どうかお心安らかに冥(めい)せられんことを。
