先輩が媒酌人になったあいさつ

 本日はご多忙中にもかかわりませず、皆様ご参会くださいまして、ありがとうございました。

 ただ今神前において新郎、新婦はめでたく結婚式を終え、ここに新しいご夫婦の誕生を祝うことができましたことはご同慶に存ずる次第でございます。

 新郎井島豊弘さんは、KS電機会社営業課にお勤めの新進営業マン、新婦明子さんはこの結婚で退職されましたが大蔵省へお勤めの公務員でした。まことに才子佳人という形容にふさわしいお二人でございまして縁結びの私もほれぼれとしています。私はかつて明子さんの中学生時代に同家に下宿させていただきました関係上、明子さんを井島君にさりげなくお引き合わせしたのです。この第一印象でぴたりと相思相愛、超スピードの結婚に踏み切られたのでございまして、仲人としての私の役目は、ぼう然と立っていただけに過ぎなかったという、まことにらくな仲人でございます。

 俗に「馬には乗ってみよ、人には添ってみよ」と申します。乗ってもみないで、馬の気持がわかるわけはございません。と同様に、人は夫婦となって初めてその人間的な良いこと、良くないこともわかるのであります。いくら結婚以前に交際がつづいても、これは靴の外から足をかくようなもので、ほんとうのかゆいところへは、達しない。

 結婚生活はこの靴をぬいでじかの足にふれるようなものですが、そのあまりにも真実のためにしばしば驚いたり、とまどったりすることがあるはずです。「結婚前は両眼を開け、結婚後は片眼を閉じよ」というヨーロッパの有名なことわざは、まさにこのような事情を訴えたものと解されます。

 結婚というお互いの肌と肌てふれ合う生活では、何もかもがわかってしまいます。その気に入らないことを、いちいちとがめ立てていたのでは、生活は成立ちません。お互いが片眼を閉じて、お互いの欠点を見ないようにしているうちに、互いの半身ずつが似かよって、ここに似た者夫婦ができ上がるわけであります。こうなれば絶対に離れるわけにはまいりません。

 どうかご両人におかれては、これより超スピードで似た者夫婦になられますよう、願い上げる次第でございます。

 本日は皆様ありがとうございました。両家に成りかわりまして、厚く御礼申しあげますとともに、どうか今後とも若い二人のために、ご支援くだきいますよう、お願い申しあげましてあいさつのことばといたします。


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