■殉職消防士を悼む

 

合同慰霊祭防火、防水は消防官の任務でありますが、いずれも危険がともない、その危険に処する勇気と英知、機敏な行動が、消防官には強く要求されます。しかし、このような人力には限界があり、その限界をこえる災害の大きさの前には、無力に等しいことがあります。

三月二七日午後七時、幸町に発生しました密集住宅地の火災は、折からの異状乾燥、水の不便、それに10mの強風という最悪の条件がかさなり、延焼をたくましゅうし、その家屋内の人命救助のため、○○、△△の両消防士が、ついに殉職されました。不可抗力とはいえ、何とも痛ましく、両消防士の霊に謹んで哀悼のまことを表します。しかしながら、両消防士の尊い殉職の働きによって被災住民のすべてが救出され、一人の犠牲者も出なかったことは、今さらながら両消防士の働きの偉大であったことを物語って余りあり、その勲(いさおし)は、とこしえにたたえられねばなりません。○○消防士は、昭和××年消防士を拝命、○○年七月より当署勤務となりました。△△消防士は、昭和××年より当署へ転属になりました。両消防士とも資性温良、職務には忠実で、上司、同僚の信望も厚く、模範消防士として将来を大きく嘱望されていたのであります。かかる優良な消防士を失いましたことは、痛恨きわまりなく、天をうらみ、神助の至らざるをなげかざるを得ません。さりながら、われわれの防火技術上の向上が、いかなる災害をも上まわるものになることこそ、両消防士の御霊にこたえるゆえんと思います。両消防士が身をもって示された教訓に、われわれは謙虚に自己を反省し、今後かかる殉職のなきよう努める覚悟でおります。両消防士の遺族に対しては、共済会その他で、できる限りのお役に立ちたいと思っております。○○、△△両消防士のみたま、どうか安らかに永遠の眠りについてください。


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