◆ 市会議員に立候補のあいさつ
お忙しい中を、またお暑いところを、このように大ぜいお集まりをいただきまして、まことにありがとうございます。
今日は各派合同の政見発表会だけあって、こちらにキラ星のごとく大先輩がいならんでおられるところは、まことに壮観と申しあげるほかありません。そこへ私のごとき弱輩が一枚加わったのでありますから、孤影悄然と申しましょうか、最初から圧倒された形であります。
しかし皆さん、私は何も皆さんの同情心にうったえて投票していただこうなどという、淋しい気持は全然ありません。反対に、この若さを誇りたいのであります。ごらんのとおり、180cm、75キロの体躯には、あふれるばかりの闘志が充満しており、これをささげて、市政に尽くしたい一念に燃えている次第であります。
さきほどから立候補の諸氏がいろいろと施政方針をのべられ、皆さんも、もっともなことだと聞いておられたことでありましょう。まことに結構なスローガンで、そのうちの一つでも完全に実現されたならば、今日聞かれるような市政への不評は、たちどころに雲散霧消するに相違ありません。
といって、先輩諸氏が看板だけ立派で内容のともなわない、羊頭狗肉のハレンチな方とも見うけられません。ここに問題が潜んでいるのであります。だれでも市政壇上に立つには、それぞれ理由があり、理想もあるにちがいない。ところがいざとなると、腰がくだけて理想を見失い、妥協と一時のごまかしにいつの間にか骨抜きにされる、というのが実情ではないかと考えるのであります。
政治といえば、地方自治体はもとより中央の政界においても、議員はただ表面の議決に加わるだけで、舞台裏には常に糸をひく者が存在し、権力であるいは金であやつっていて、結局議員は文楽の人形以上に動けないのが現状であります。当市におきましても、この傾向はそうとう露骨にみられ、大多数の市民は"しかたがない"と観念しているようにみえます。
皆さん、そこに大きなあやまりがあり、不惑(40才)にも達しない私が立候補した理由もそこにあります。今日の政治ほど体質改善の要望される時代はないのであります。政治生活が長ければ長いほど、旧態依然たる政治理念と行動をして、しかもそれが正しいと誤算しやすく、これが今日の市政を旧態依然たらしめているのであります。これを本当の政治のあり方に導いていくのは、実は私たち若い者以外にはない、と断言いたします。
私はここで多くの政策を列挙したり、公約したりはいたしません。もちろん私も党の公認でありますからその党則にある程度協調していくのは当然でありますが、何よりも市政をガラスばりの明朗なものにするため、まずその病患の根源にメスを入れ、敢然としてこれとたたかうことを誓います。
申しおくれましたが、私はT大の法科を卒業以後、弁護士として今日に至っております。どうか皆さんよろしくご声援のほどを。