県会議員選挙落選激励会における謝辞
●県会議員立候補者〇〇△△
ありがとうございました。本当に皆様、ありがとうございました。百万言ろうするよりも、ただただ、私はこの一言だけを皆様に申し上げたいのです。
先程から皆様にちょうだい致して参りました激励や、おしかりのお言葉、すべて石に刻み、胸に刻み、終生忘れぬ決意に燃えております。本日ここにお集まりく
ださった皆様、そしてこの選挙期間中、文字どおり超人的な運動を続けてくださった事務所の皆様、その火の出るような闘魂に、ただ感謝の気持ちだけでは相済
まない、神々しいまでの運動ぶりに私は、鮮烈なショックを受けているところであります。
一般の社会ではとうてい学ぶことのできないたいへん大きな経験をした、と申しますより、実に大いなる無形の財産を得たと私は思っております。
これは、得ようとして得られるものではない、真心の塊りのような皆様の熱意と誠意の結晶だと思うのであります。
不肖、私、今回の選挙では、見事落選を致しました。しかしながら皆さん。私は、決して参ってはおりません。敗れてなお、本日のように皆様、熱烈にこうして御参集くださっておられます。何ものにも換えがたい財産を得たと思っております。
たくさんの石はいりません。私に必要なのは、キラリと光る宝石であります。こうして集まっておられる皆様の心温まる、そして、本当に底の底から光を放つ、ダイヤのようなお心を、私はしっかと抱きしめることができた、その喜びのほうが大きいのであります。
私は参りません。私はこれで参ってしまうような男ではありません。今回の結果はすべて私の不徳の致すところ、皆様になんとお詫びしてよいか分からない結果でありますが、この尊い数字を基礎にして、新たなる闘いを開始する覚悟であります。
言葉だけではありません。先程申し上げましたように、皆様方の神々しいまでのお力添え、御奮闘に対して、私は今日本日を、新たなる出陣の日としたいと考えているのであります。
戦後オリンピックに、日本が初めて参加することができたときのことであります。ヘルシンキであったと思います。自戒の意味も含めまして、私の心のよりどころとしておりますエピソードを、お話しさせていただきたいと思います。
日本は戦いに敗れて、国民すべてが打ちひしがれておったことは、皆様ご存じのことと思います。その私たちに、心の灯と申しますか、生きる喜びを与えてくれ
たのは、あのヘルシンキオリンピックでの唯一の金メダルを取った、レスリングの優勝者笹原さんであります。私は、彼の活躍に胸を打たれました。大いに血沸
き、肉躍ったのでございます。
しかし私は、その優勝致しました笹原選手が日本の誇り、唯一の金メダル獲得者として立派だった、と申し上げたいと思っているわけではございません。確かに、並いる強豪相手に、栄養状態もさしてよくないであろう笹原選手が金メダルを取ったというのは立派でありましょう。
私は、それ以上に立派であったというエピソードを聞きまして、ぜひ、本日お集まりの皆様に私の気持ちを伝えたく古い話をさせていただいているのです。と申
しますのは、その笹原選手が優勝しまして、表彰式に移ったわけです。ところが二位、三位の選手はいるのに、肝心の優勝者笹原選手がいない、会場をくまなく
探してもいないわけです。これでは表彰式ができないというわけです。ようやく笹原選手を探し出したところ、皆さん、なんと笹原選手は、決勝で勝ち優勝を決
めた後、そのまま練習場へ行って、更なるトレーニングに励んでおったのであります。
このエピソードが、私の胸に焼き付いて離れません。優勝したその日から次の闘いの準備を、それも誰に言われるでもなく黙々と繰り返しておった笹原選手。こ
ういった選手だからこそ、戦後初めて参加したヘルシンキオリンピックで、日本でたった一つの金メダルを獲得できたのだと私は思うわけであります。
古い話を持ち出しまして、申し訳ありません。もう皆様にはお分かりいただけたと思いますが、私はすでにトレーニングを開始致しております。
笹原選手は金メダルを取ったその日から、次の日のトレーニングを励んでおった。残念ながら不肖私は金メダルを取ることはできませんでしたが、もう次回への門は開始したのだ、という気持ちを持っております。
本日は、落選の報告会兼激励会だそうでありますが、落選の報告をしてももはやしょうがありません。来期へのスタートは、本日をもって切られたのだ、とそう解釈していただきたいと思います。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がございます。本日お集まりの皆様がた、私はこの言葉を、本日から次のように変えたいと思うのであります。すなわち「人事を尽くして天命を変える」というようにです。
私たちは、人事を尽くして天命を得たのでありますが、天命は我に利あらず、といった結果に終わりました。
しかし、私はやります。必ずやりますので、皆様どうかもう一度、お力をお貸しください。
今度は「人事を尽くして天命を変える」といった気持ち、一生懸命やって天命を待つのではなく、天命そのものを変えてしまうほどの気持ちで、突き進んで参りたいと思います。
転んだ後の私を天は見ているのだ、そう思っておりますので、私は今後全身火の玉のようになって、皆様とともに闘いつづけて参る所存であります。
本日は、本当に皆様どうもありがとうございました。皆様のこのような温かいお志が、負けた悔しさすべてを忘れさせてくれます。本当にありがとうございました。