「失敗はかくさずに相談せよ」
〜担当部長のあいさつ〜
わが第二営業部に、今春は三名の新人を迎えましたので、こよいは歓迎部会を開きたい
と思います。皆さんの新しい同僚を紹介するとともに、ひとことごあいさつを申し上げま
す。
第二営業部の仕事は、当社の得意先の拡張で、当社では、第一線の仕事です。そのため
地方への出張も多く、こうして全部員が一堂に会することは、年に数えるほどしかありま
せん。それだけに他の部とちがった苦労と悩みがあります。
しかし、われわれの実績は、すぐ数字となってあらわれ、社の営業成績を左右するので
すから、男としてこれほどやりがいのある仕事はないといえます。新人の諸君も、一日も
早く一人前になり、ここに列席されている先輩達に負けないよう、がんばってください。
新人教育期間の三か月は、諸君は先輩にしたがって先輩の仕事ぶりを、よく研究しても
らいたい。それ以後は、諸君の一人、一人が世の中へ歩き出し、先輩と同じに仕事を担当
することになります。三人とも、むずかしい試験をパスし、すぐれた素質をもっているの
ですから、十分やっていけることと思います。
わが部は、さきほどものべたように、地方出張が多く、皆さんが困ったときに、すぐと
んでいって助け合うことはできません。しかし、失敗したり、困ったりどうにもわからな
いことの起きたときは、ひとりで悩んだり、かくしだてをしたりしないで、すぐ本社に帰
り、先輩なり、私に相談してください。
固苦しいことを少々述べましたが、こよいは無礼講で、大いに飲み、語り合ってくださ
い。
「社業全般の知識を得よ」
〜社員講習会担当課長のあいさつ〜
私は、今日から一週間にわたって行なう、新入社員教育講習会を担当する、総務課長の
○○です。
この講習会は、当社の事業である、精密機械工業に対する一般的な知識、業界の動向と
その将来への見とおし、また、業界内でのわが社の占める位置などについて話し、あと
は、社内の各部長から、各部の一般的な状況と、社員の心がまえについて話し、当社の社
員としての自覚をもっていただくのが目的です。
これは、わが社の社員として歩きはじめた第一歩なのですから、真剣に受講してくださ
い。講師の方は、みな諸君の先輩で、この道のベテランです。わからないことは、どしど
し質問して、納得のいくまで討論なさるのもよいでしょう。
この一週間のうちに、しっかりわが社の社風や、事業の内容を身につけ、どの部に配置
されても、これは会社の中のどんな働きをしている部署か、自分でわかるように、今日か
ら一生懸命がんばってください。