首なし幽霊 2度目の挑戦

前回からの続き

家でバッテリーをしっかり充電し、テストまでして臨んだ2回目の挑戦。

 いよいよ現場が近づいてきた。車のライトだけが頼りな暗黒の世界。おもむろにビデオを回しはじめる。ファインダーの中には、ライトに照らされた草木が映る。先日フジテレビ系のアンピリーパボーという番組をご覧になった方は、天城山中でビデオがとらえた幽霊らしき物体の映像を思い浮かべていただければ、想像の助けになるかも知れない。まさにこの現場もあのような状況である。しかし、あの天城山にはしっかりとした幽霊らしき映像が映っていたが、我々には幽霊は全く映らなかった。というよりも、映り得なかったのである。なぜなら、現場手前で(これも良く聞く話だが)バッテリーが切れてしまうからである。先に書いたように、バッテリーは家で完全に充電して、現場まで電源も入れなかったのだ。しかも予備バッテリーも持っていったので、装備は完璧と思っていたのだが・・・
 一本目がダメだったので、すぐさま予備を使用してみたが、これまたやはりすぐ電源が落ちるではないか。それも片道ではない。往復して撮影してもダメ。暗いからどこに石碑があるのかもわからないものの、どうもある一点に近づくとファインダーから映像が消えてしまうのだ。その日、幸いにも体調を崩す人は出なかったが、私のカメラがその厄をはらってくれたと言うべき、良くある話ではあるが、自分で体験するとなると、とても不思議な出来事であった。

 その後私はもう二回ほどそこを訪れようとしたが、途中でバケツをひっくり返したような大雨になったり、途中道に迷って(何度も行っているのに)目的地までたどり着けなかったりしたものだから、いつしかまるっきりこの出来事を忘れるようになってしまった。

 

 後日、その問題の石碑はいったい何のためのもので、幽霊と思われるものの正体はなんだったのか、解明したわけではないが、そのヒントになる話を地元の人から聞くことができた。話によるとその峠道のある山は、かつて罪人の処刑場(いわゆる首切り場)で、その石碑はその者達の霊を慰めるためのものだったらしい。時代は江戸、その峠道はそれよりもずっと昔からあり、Y町とH町のその近辺の方達は、良くその歴史事情を知っていた。だから地元の人もそこはあまり通らないらしい。

 今はその峠道がどうなっているのか、自分としても確認してみたい気持ちと、二度と行きたくない気持ちと、半々なので、うやむやになって現在に至っている。しかし人に聞いたところによれば、問題の石碑を元に戻してからは、パッタリと幽霊は出なくなったそうである。自分としては絶好の確認チャンスを逃したと言うべきか、これで良かったのか、とやはり複雑な思いである・・・・・・。

 今年の夏、もしかすれば10年ぶりに行ってみようかとも思っている。その際には、知り合いの、霊感が非常に強い人と一緒に行く予定なので、もしなにか起これば、またここでレポートするつもりである。もちろん私の命を取られなければの話だが・・・

(終)